プログレッシブな日々

混沌こそ我が墓碑銘。快楽の漸進的横滑り。

2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧

おれは間違って生まれた〜『樅ノ木は残った』雑感

——おれは間違って生まれた。 と甲斐は心の中で呟いた。けものを狩り、木を伐り、雪に埋もれた山の中で、寝袋にもぐって眠り、一人でこういう食事をする。そして欲しくなれば、ふじこやなをこのような娘たちを掠って、藁堆や馬草の中で思うままに寝る。それが…

マナーあるいは罪。あるいはどうでもいいこと。

ソドムとゴモラの叫びは大きくまたその罪は非常に重いので 私はいま下って 私に届いた叫びのとおりにすべて彼等がおこなっているかどうかを見てそれを知ろう(大島弓子『わがソドムへようこそ』)すべてはどうでもよいことだったゆえに、父はどこへ行っても…

倭国から日本へ。岡田英弘著『倭国』より抜粋。

僕は古代史に関しては、中国・東洋史のパースペクティブで古代の日本列島を捉えている岡田英弘先生の学説にもっとも納得を感じている。『日本書紀』の周囲をぐるぐる旋回しているだけの「日本史」プロパー学者の説は、どれもファンタジーとしか思えないから…

昭和の人

私はヤマメの五寸、六寸以上のものを釣り上げると、必ず胸の動悸を覚るのだ。これはどういうわけのものだろう。ごとんごとんと胸が鳴る。胸の高鳴りである。大きなやつを釣りあげて魚籃に入れ、次の餌を差そうとしても興奮のため手を震えて餌が差せないのだ…

Aujourd'hui, dans l'histoire...(歴史の中へ)

THE BEATLES 人間、或る程度馬齢を重ねてくると自分の記憶が歴史になっていくやるせなさを味わう。白黒テレビとか、ビートルズとか、全共闘とか。僕は大学のフランス文学科というところを卒業したが、今はその名はない。「フランス語圏文化学科」というのだ…

Rock'n'roll

言葉ほど不確かなコミュニケーション手段はない、といったのはデビッド・ボウイだったか。俺の言うことを信じるな、自分の頭で考えろ、と言ったのはジョン・レノンだったか。ロック音楽を通して、この40年、言葉を相対化する術を学んだ。だからどうしたとい…

『バルカン超特急』(The Lady Vanishes/監督:アルフレッド・ヒッチコック)を観てみたよ!

僕はそれほど映画を観る人間ではないのだが、先日、『オリエント急行殺人事件』を観て感動した勢いを借りて、鉄道ミステリー映画の古典であるこの作品を図書館で借りてきた。原題は「消えた淑女」だが、邦題は鉄道を全面に出しているところが面白い。バルカ…

栄子の夢

連続テレビ小説「マッサン」で演技派女優としてのポジションを確立した感のある小池栄子。僕はかなり以前からその存在感が気になっていて、自分でも何故だろうとふしぎだったんだけど、「マッサン」で演じたハナちゃんの役柄をみているうちに得心がいった。…

9年前の日記

9年前の明日(6/5)の日記を発掘した。今の自分より三割増しで悲観的な感じが興味深い。========================== コレデオシマイ 美しい友よコレデオシマイ たった一人の友よ(THE DOORS「THE END」) 村上世彰氏がインサイダ…

余丁町散人さんのこと。

Letter from Yochomachi 昨年の6月、一人のご隠居ブロガーが世を去った。新宿区余丁町に棲まわれていたその方のブログネームを「余丁町散人」と言う。熱心なMacユーザーで初期にはiBlog という珍しいアプリケーションでブログを構築されていた。 同じ余丁町…