プログレッシブな日々

混沌こそ我が墓碑銘。快楽の漸進的横滑り。

2015-08-01から1ヶ月間の記事一覧

言葉が足りない。

「わたしが、東京に出ん理由は、ですね」と香川登志緒は強調した。「〈なんでやねん〉という言葉にあたる標準語がないからです。東京は、言葉が少ない」 (小林信彦『日本の喜劇人』「大阪の影」より) 東京語(共通語というべきか)は確かに、言葉のニュア…

Memento mori 〜墓を買った話〜

今夏は昨年9月に死んだ父の新盆である。パソコンのアーカイブを探ってたら、9年前に書いた文章が出てきた。父が墓を買った時の話である。懐かしいので 以下に再録。 先日、父親が自分が入る為の墓地を購入した。そこは自宅から徒歩で行ける浄土宗の寺院内に…

Memento mori 〜 死を憶(おも)え〜

www.youtube.com お盆で空いている電車に揺られながら、掌の中のぬくもりが消え去っていく。 デスクのパソコンのキーを叩きながら、遠くの方で起きている爆撃の音を聞いている。 私たちの中の宗教が、私たちをジェノサイドの崖っぷちに誘っていくのを 世代を…

夏空 〜 Summer's almost gone〜

そろそろ夏も終盤に差し掛かろうとしている。 私は、爽やかな夏空を見るたびにふと思い出すことがある。 小学校4年の時の朝礼。いつものようにS校長先生が、朝礼台に昇り、マイクロフォンの前に立ち、お話を始めようとしていた。綿飴のような白い雲がぽっか…

『フォーカスな人たち』井田真木子再読 〜悲しみの黒木香〜

今週のお題「読書の夏」 Amazon.co.jp: フォーカスな人たち (新潮文庫): 井田 真木子: 本 ところで“わたくし“は女性とは限らない。というより、あまりにも強烈な“わたくし“の前には性差など消し飛んでしまう。たとえば黒木香はまさにその典型だった。彼女は…

ふと『ラストサムライ--The Last Samurai--』(2003 米国)のことを思い出してしまった。

『ラストサムライ--The Last Samurai--』(2003 米国) 先日、TVニュースで映画のプロモーションのために来日したトム・クルーズが、新宿歌舞伎町で赤絨毯の上を笑顔を振りまき歩いている姿を見た。その風景が醸し出すユーモラスなぎこちなさから、ふと彼が…

飯尾憲士『自決—森近衛師団長斬殺事件』再読

Amazon.co.jp: 自決―森近衛師団長斬殺事件 (光人社NF文庫): 飯尾 憲士: 本 映画『日本のいちばん長い日』のリメイク版が話題だが、その重要エピソードである宮城事件における近衛師団長惨殺に残る謎を、犯人と師弟関係にあった “当事者”たる著者が徹底的に…

戦後70年らしい。

今年は戦後70年らしい。数字の切りが良ければ良いってもんでもなかろうに。この時期になればメディアは戦争に関する話題が増えてくる。今朝のNHKニュースで世論調査の結果「原爆投下日を7割が不正解」というニュースが流れていて、へえ、と思った。原爆が投…