プログレッシブな日々

混沌こそ我が墓碑銘。快楽の漸進的横滑り。

呟き

『歩くひと 完全版 』(谷口ジロー)を読んだよ。

r 最近、NHKでTVドラマ化された亡くなった谷口ジロー氏の名作が、全エピソード収録&カラーページ再現の完全版として出版されたので、さっそく購入して読んでみた。いや読むと言うより、観た、といった方がふさわしい読書体験だった。 マンガとしては大判のB…

『豊饒の海』Revisited

新型コロナ感染拡大が深刻化しつつあった3月上旬から再読を始めた『豊饒の海』。学生時代は1〜2巻を文庫で買って、残りを図書館で借りて読んだらしく、3〜4巻は手元にないので買うことにした。電子本でもいいのだが、どうせならと思って紙の本にした。かつて…

Stay Home Sesssion Vol.1

家に居る時間が長くなったのでこれまでなかなかいじれないでいた楽器に触れる機会が増えた。 ■ステッペンウルフ「ワイルドで行こう!」 こういう若い頃に覚えた曲は楽器を手にするとだいたい思い出せる。でも、最近覚えた曲はすぐ忘れてしまう。つらい。 www…

コロナ禍の蟄居生活の中で積んでおいた神吉拓郎『私生活』を読む。

私生活 (P+D BOOKS) 2月下旬に有楽町・交通会館の三省堂で見つけて買っておいた神吉拓郎『私生活』。1983年第90回直木賞受賞を受賞した短編集で、以前は文春文庫で出ていたが、今年2月に小学館P+D BOOKSとしてペーパーバックでも刊行された。文庫より字も大…

志村けんの死が意外となんだかボディーブロー

志村けん(敬称略)の死はある程度予期していたので、特に意外ではなかった。 新型コロナウイルスによる肺炎で入院し、人工呼吸器を付けられている…と聞いた時点で死ぬ確立は高いなと思った。ヘビースモーカーだったし(四年前に肺炎をきっかけにやめたらし…

アマチュアとして生きる。

体験という言葉の空しさ。体験とは実験ではない。それは人為的にひき起こすこともできぬ。ひとはただ、それに服するのみだ。それは体験というより、むしろ忍耐だ。ぼくらは我慢する──というよりむしろ耐え忍ぶのだ。あらゆる実践、ひとたび経験を積むと、ひ…

ウイークエンド銭湯

2019年11月末で廃業した清瀬市最後の銭湯「峰の湯」 昨年は清瀬市内の銭湯3店が廃業し、とうとう市内で営業する銭湯がゼロになってしまった。もともと市内の銭湯の多くは5カ所あった大規模な都営アパートの近くにあった。昭和30年代後半、前回の東京オリンピ…

語られる思いと語られぬ思い

風の歌を聴け (講談社文庫) 『風の歌を聴け』は、ヴォネガットや太宰治やカミュや初期の大江健三郎、倉橋由美子等の作品とともに、私の進路に影響を与えた文学作品であった。この小説のイメージは「夏の終わり」だ。なので今頃の季節になると、この小説をこ…

先週土曜日の日経新聞に「片頭痛」の健康コラムを書きました。

先週土曜日の日経新聞に自分自身も悩まされている「片頭痛」に関する健康コラムを書きました。夏から秋の温度変化、気圧変化が激しい時期は片頭痛持ちにとってつらい季節なのです。でも、敵の正体さえキチンと知れば決して恐れることはありません。そういう…

『風林火山』のページをめくりながら、亡くなった橋本治のことを思った

掃除をしていたら本棚から井上靖「風林火山」が落ちてきた。掃除の手を止め、ぱらぱらとめくってみる。大好きな小説である。しかし、特に時代小説、という感じを受けずに読んでいる。武田信玄と山本勘助、そして由布姫の、共犯関係のような、三角関係のよう…

『はじまりのゼルダ 最初期音源集 1980-1982』雑感

はじまりのゼルダ 最初期音源集1980-1982 なぜか突然発売されたゼルダ草創期の貴重な音源集。 僕がもっとも好きなゼルダは、ギターのフキエさんとドラムのアコさん加入後の3枚『カルナヴァル』『空色帽子の日』そして個人的には最高傑作の『C‐ROCK WORK』。 …

NETFLIXのオリジナルドキュメンタリー『リマスター:ロバート・ジョンソン』雑感。あるいは私の「27クラブ」

www.youtube.com NETFLIXのオリジナルドキュメンタリー『リマスター:ロバート・ジョンソン』を見た。 ジョンソンに関してはかなり研究も進み、私も伝記やドキュメンタリーに接しているのでこの番組にはそれほど目新しい情報はなかったが、最新の研究成果を…

『The White Album』 Morgan Jamesが素晴らしいぞ!

youtu.be 今日は短めの文章を数こなす仕事だったので、なにかいいBGMはないだろうかと探して見つけたのがこれ。ミュージカル女優でR&B系ヴォーカリストでもあるモーガン・ジェームスによるビートルズ「ホワイト・アルバム」の全曲カバーである。モーガン…

今は亡き釣り人のために。

AMAZING GRACE for Mr.T サクラマス釣りの男性流され死亡 福井市の九頭竜川、1人は救助 | 事件・事故 | 福井のニュース | 福井新聞ONLINE 昨夏、友だちのIさんに紹介された大阪のTさんと言う知り合いの釣り人が、先月、サクラマス解禁で訪れていた九頭竜川…

アイザック・アシモフ『黒後家蜘蛛の会3』を読んだよ。

黒後家蜘蛛の会3【新版】 (創元推理文庫) SF作家であるアイザック・アシモフによる本格ミステリ連作短編の3巻目。特許弁護士、画家、数学者、暗号専門家など多士済々の秘密クラブ「黒後家蜘蛛の会」で繰り広げられる推理ゲームという設定で書かれた連作短編…

ワールドカップと喪失感

われわれサッカーファンは、4年に一度、ワールドカップ大会の歓喜を味わうわけだが、同時に大会の終幕とともに大きな喪失感を味わう羽目になる。2002年日韓大会の時は日本代表が初のベスト16となり、共催国の韓国が3位。そのほか番狂わせがいろいろあって…

フィリップ・ロスが亡くなった。

フィリップ・ロスが亡くなったそうだ。大学でフランス文学を専攻した私だが、2年生ぐらいから同時代の作家ではアメリカ文学のほうが面白いかもと思い始めてアップダイクやピンチョンやヴォネガットやロスなどを読み漁った。『さようならコロンバス』『ポー…

アガサ・クリスティ『パディントン発4時50分』再々再読

パディントン発4時50分 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) 先週、僕が好きな『パディントン発4時50分』のテレビドラマが放映されていたので、それほど期待しないで見てみた。放映されたドラマは予想以上に酷いものだった。 この小説の名探偵はミス・マープル…

Love in Vain

お前は岩場の山羊が子を産む時を知っているか。 雌鹿の産みの苦しみを見守ることができるか。 月が満ちるのを数え 産むべき時を知ることができるか。 雌鹿はうずくまって産み子を送り出す。 その子らは強くなり、野で育ち 出て行くと、もう帰ってこない。 (…

ビゼーと悪妻

芸術家に悪妻は付きものだ。 ビゼーも悪妻の持ち主だったらしい。 私は17歳の時より思う所あって古典音楽を聴くのをやめたのだが、「アルルの女」は時折聞いていた。 小学生の時、放送委員をやっていたことがあるのだが、「アルルの女」ばかりかけていたら…

「A Hard Day's Night」関西弁訳

The Beatles - A Hard Day's Night - Official Video しんどかった日の夜、犬ころみたいに働いたわい。 しんどかった日の夜、丸太みたいに眠りたいわい。 そやけど、お前のウチ行って、 お前の仕草をみていたら、 なんかごっつ気分ようなってきた。 おう、一…

あれから23年。

ヒースクリフ! 私よ、キャシーが帰ってきたわ。ああ、とても寒い。この窓から中にいれてちょうだい。 (ケイト・ブッシュ『嵐が丘』拙訳) 私は久しぶり(10年とか15年のスパン)にあった人から「ぜんぜん変わってないねえ」と言われるタイプの人間なの…

忙しいと釣りについて考えたくなる。

忙しいと釣りについて考えたくなる。なぜだろうと思う。夢の中にも釣りが出てくる。釣れなくて苦しい。うんうん唸っていると目が覚めるのだ。 フライフィッシングを始めた頃、何気に洋書(アメリカ)の入門書を買ってみた。ちょうど今みたいな繁忙期に仕事…

葛西善蔵と酒が飲みたい。

先日、むかし部下だった男から電話があった。お互い前後して会社を辞めたので10年以上会っていない。要は、僕と飲みたい、昔迷惑かけたことをいろいろ反省してる…という趣旨なんだが、なぜ今電話してきたかよくわからない。おそらく本人にもわからないのだろ…

丘を越えて 〜『嵐が丘』と前世の記憶

嵐が丘 (新潮文庫) 「エレン、あとどれくらいしたら、わたし、あの丘のてっぺんまで行けるようになる? 丘の向こう側にはなにがあるのかなあ──海?」 「違いますよ、キャシー嬢ちゃん」あたしは答えたものです。「これとおなじような丘が連なっているんです…

「日本も、けさから、違う日本になったのだ」

久しぶりに政治の話をする。 先の衆院選において、何人かの(リベラルな)純文学作家の方々が反アベ政権の立場から発言していて、ことごとく幼稚かつ的外れで呆れた。文学の言葉が現実への影響力を失って久しいが、その自覚がないままに現実を語る言葉の浅薄…

シンプル・マン

まだガキだった頃、ママにこう言われたのさ。 「私の横におすわり。そしてよくお聞き、かわいい坊や。 これから私が言うことをしっかり聞いて、守りさえすれば きっと明るい明日がまっているはずよ。 自分の時間を大切にしなさい。焦ってはダメ。 トラブルは…

Season of the Insects

ファーブルは高齢になると年金による収入がなく生活は極貧であったと言われている。昆虫記ほか科学啓蒙書の売れ行きもさっぱりであった。85歳を超えたファーブルは健康を損なう事や、横になる事が多くなる。そしてヨーロッパ全土にファーブルを救えという運…

ポドルスキの活躍を見て2006年ドイツ・ワールドカップと中田英のことを考えていた

こういう私のざまを「精神の荒廃。」と言う人もいる。が、人の生死には本来、どんな意味も、どんな価値もない。その点では鳥獣虫魚の生死と何変わることはない。ただ、人の生死に意味や価値があるかのような言説が、人の世に行われてきただけだ。従ってこう…

ウルトラセブンと玉川学園

先日仕事で玉川学園を訪れた。創立者自ら鍬を持って山と雑木林を切りひらいたというキャンパスは、最近では話題のテレビドラマ「やすらぎの郷」のロケ地にも使われており、多彩でユニークな造作の校舎と生い茂る雑木林の豊かな緑でちょっと散歩するのも楽し…