プログレッシブな日々

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8月15日はほんとうに〝終戦の日〟なのか?

社説|終戦記念日/英知結集して平和築く力に | 河北新報オンラインニュース
(8月17日注:最初にリンクしたNHK世論調査記事が削除されてしまったので、その記事に言及している河北新報の記事に差し替えました)

中高年の人々は「最近の若者は終戦記念日も知らない」と嘆く。では、彼ら自身は「8月15日」がどういう日かほんとうに知っているのだろうか? この日は、連合軍による降伏勧告のポツダム宣言を受諾したと、元首がラジオを通じて国民に通知しただけで、つまり国内向けに天皇が「戦争やめます」と玉音を発したに過ぎない(ポツダム宣言受諾自体は前日14日に連合国へ通知済)。この身内にしか通じない日を終戦記念日としているところに日本人の戦争観みたいなものが現れているんじゃないかと思う。ちなみに、終戦時まで日本の領土であった韓国、北朝鮮は8月15日を日本からの「解放記念日」としている。こちらは「天皇ヒロヒトが白旗を掲げた日」ということで頷けなくもない。ただ、朝鮮総督府の統治は15日以降も続いていた。

実際は8月15日以降も日本の軍隊は大陸や南方などでは散発的な戦闘を続けていたし、「日本のいちばん長い日」で知られるように国内でも若い将校らの不穏な動きがあちこちで発生していた。マッカーサーがコーンパイプ片手に厚木に上陸したのが8月30日、ようやく連合国と実効の降伏文書に調印したのは9月2日で、米国、英国、ロシア、フランスなどの連合国ではこの「9月2日」が対日戦勝利記念日になっている。さらに沖縄を含む南西諸島の日本軍守備隊と米軍との間で降伏文書への調印が行われたのは9月7日。凄惨な地上戦が繰り広げられた沖縄のことを思うのなら、この「9月7日」をもって、わが国としての終戦記念日としたほうがいいと思うのだが、どうであろうか?

増補 八月十五日の神話: 終戦記念日のメディア学 (ちくま学芸文庫)
日本のいちばん長い日(決定版) 運命の八月十五日