プログレッシブな日々

混沌こそ我が墓碑銘。快楽の漸進的横滑り。

「バーチャル天皇制」を提案する

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天皇陛下の〝生前退位〟をめぐり、政府が設置した「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」(座長:今井敬・経団連名誉会長)が今月7日、専門家へのヒアリングを始めた。焦点となる退位の是非は、意見を述べた専門家5人のうち2人が賛成、2人が反対、残り1人は法制面での難しさを指摘するなど意見が割れた。

おそらくこの結果はあらかじめ想定されたもので、そもそもの専門家の人選がこういう玉虫色の結果を導くことに目的があったと考えるべきだろう。

天皇制の根幹である血脈の危機が迫っているのに、枝葉末節である退位などで揉めるなどずいぶん暢気なことだと思わざるを得ない。秋篠宮の息子に男子が産まれなければその時点で天皇制終了なのだ。ヘタをすると、僕が生きているうちに天皇制の終焉を目撃できる可能性だってある。長生きはするものだ。

個人的には天皇制度は一種の差別構造だと考えているので、制度そのものはさっさと廃止すればいいと思う。もちろん難題である憲法改正が必要になるし、天皇ご夫妻やその子どもたち、孫たちの代の方々にはそれまでのご苦労を十分ねぎらい、適切に遇する必要があるだろう。天皇制度には反対するが、これらの方々を人間としてはかなり尊敬している。先ほど僕は「差別構造」と書いたが、逆に見れば皇族の方々は〝人間扱い〟されていないということでもある。

たとえば皇后の写真をご成婚前から現在まで並べて見てみると、その顔貌の激変ぶりにちょっと胸が詰まる思いがする。ただ老けただけではない、彼女の半世紀以上にわたる「人間扱い」されなかった歴史が投影され、刻みこまれているように思えるのだが、それを乗り越えて自分の役割を十分以上果たされている皇后を心から尊敬する。皇太子妃は心を病んでしまったが、そのことを責める気にはなれない。結婚前に彼女のことを「一生お守りする」と言った皇太子の奮起もあったが、それすら非難にさらされ、御簾の向こう側には底知れぬ深淵が広がっているようだ。求められているのは秋篠宮妃のしたたかな鈍感さなのかもしれないが、彼女の息子と将来彼に嫁ぐ女性にかかるプレッシャーは皇太子夫妻の比ではないだろう。

僕はこういう「非人間的」な制度は、現実問題としてそれほど長くは続けられないと思う。現に皇室は今、実質的に消滅寸前の状態なのだ。国民はまずその認識を持たねばならないだろうし、天皇の〝生前退位〟のお気持ち表明は一種の断末魔のようなものなのだと知るべきだろう。

 

天皇制=天皇家が永久に続くためには、女系天皇や女性皇族、もしかしたら側室制度などの検討が必要かもしれない。しかし江戸時代の大名家では何人もの側室を設けていたにもかかわらず、血脈が途切れるケースは多かった。そして、何をするにせよ皇室制度が身分制度=差別構造であり、反面で皇族に対する「非人間的」扱いであることには変わりはない。僕はその点が最大の問題点と考えている。

そこで僕が提案したいのは「バーチャル天皇制」である。「非人間的」なのであれば、いっそのこと生身の人間が天皇をやるのを止めればいいのだ。AI(人工知能)やVR(バーチャルリアリティ)など最先端のコンピュータテクノロジーを駆使すれば、ネットワーク上に「天皇」と「皇族」のみなさんを存在させることなどそれほど難しいことではなかろう。モニターやスクリーンの中にしかいない天皇なんて、少しも有り難みを感じない....という方もいるかもしれない。大丈夫。3次元の像を記録し,再生するホログラフィー技術が有り難くもリアルな天皇像を貴方の眼前の空間に出現させてくれるだろう。

 

バーチャルなので男系・女系とかいった議論もほぼ無意味となる。男女共同参画社会なのだから、いっそのこと一代ずつ男女交替で天皇になるのがいいんじゃないか?  天皇の風貌と風格は国民の理想とするものをカタチにすることができるし、バーチャル天皇が自然に「年を取る」ことだって簡単だろう。キムタク似でも、でもショーンK似でも、ディーン・フジオカ似でも、堺雅人似でも国民のお気に召すまま。女性天皇であれば、ぜひ桐谷美玲ちゃん似でお願いします。

 

外遊もWWWを通して24時間・365日いつでも対応可となる。もちろん移動時間も不要。ネットワークを通して世界のあらゆるところに日本国天皇は存在できる。同時に数カ国訪問することも可能だ。ある意味、平和的帝国主義といえるだろう。



このバーチャル天皇制導入をきっかけに西暦年と元号のマッチングをわかりやすいものにすることもできる。在位期間を一律50年に決めて、1世紀に2代の天皇というのがいちばんわかりやすいのではないか? もちろんバーチャルだから在位100年でもかまわない。男性天皇であれば最後は仙人のような老爺にしてみるのも乙だろう。女性天皇の場合は卑弥呼コスプレか? 崩御時も人間が死ぬわけじゃないんだから、追い腹を切ったり、「自粛」とか一切不要。逆に崩御を社会イベント化して、国民にじゃんじゃんお金を使わせて景気刺激策に使う手もあるだろう。

天皇と皇族を人間に限定しなければ、こんなに象徴天皇制の可能性は広がるのだ。また、実現すればわが国のテクノロジーの力を世界に見せつける絶好のショーケースとなるかもしれない。

 

憲法改正という大きなハードルはある。しかし「バーチャル天皇制を試してみる価値はあると思うが、どうだろう?