プログレッシブな日々

混沌こそ我が墓碑銘。快楽の漸進的横滑り。

ジョン・レノンが死んだ日 〜Nobody Loves You (when you're down and out) 〜

 

 

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 36年前のことはつい昨日のように思い出せる。僕は大学のラウンジで紙コップのコーラを飲みながらフランス語の試験勉強をしていて、ラウンジに流れるFMラジオ放送の臨時ニュースでジョン・レノンが撃たれた事件を知った。女性ディスクジョッキーの沈鬱な声音まで甦ってくる。あまりにも呆然としてどうやって帰宅したかは、よく覚えていない。しかし、どこかの駅前でラジオから「LET IT BE」が流れてくるのを聞き 、「違う!それはポールだ」と思ったのだけは良く覚えている。

 その夜、生まれて初めて、自暴自棄の飲酒をした。家にあったサントリー・リザーブを半分空けた。翌日、二日酔いのままフランス語の授業に出て(出るだけ偉い!)、授業中に目の血管が切れて、血の涙を流した。

あれから36年。振り返れば、俺はいったい何をしてきたのだろうとアタマを抱えたくなる。

 

ジョンのソロ作で今も愛聴しているのは死後発売された「メンローブ・アベニュー」である。ヨーコと別居してた「心の橋 愛の壁」「ロックンロール」の時代のアウトテイク集。なぜこの作品が良いかと言えば、

1)ヨーコ不在のためジョンが純粋に音楽に向かい合っている
2)デモテイク中心なので、ジョン(及びフィル・スペクター)にありがちなオーバープロデュースがない。
3)クラウス・フォアマン、ジム・ケルトナージェシ・エド・デイヴィスという最高のバンド

この3点に尽きる(敢えて付け加えるとウォホールによるジャケデザインも)。曲も演奏もジョンのソロ史上最高なのだ。特にB面は素晴らしい。そのB面冒頭曲は悪徳マネージャーの誉れ高きアレン・クラインへの惜別の一発!となる「Steel and Glass」、そしてアルバム最終曲の一つ前が自らと別居中のヨーコいずれへの揶揄ともとれる「Nobody Loves You  (When you're down and out) 」である。ここでロックンローラー・レノンは自らの終わりを告げたのではないか。

美しいが、魂が抜けたような死の直前の復活作「ダブル・ファンタジー」を聞くたびにそう思う。

※上のリンク、You Tubeに「メンローブ・アベニュー」バージョンがないので、アコースティック・デモバージョンを貼っておいた。どう演奏しようが名曲に変わりない。「Imagine」の300倍好きだ。

Menlove Avenue

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