プログレッシブな日々

混沌こそ我が墓碑銘。快楽の漸進的横滑り。

杉浦日向子さん没後20年

 

今年はマンガ家・江戸風俗研究家だった杉浦日向子さんの没後20年。私より3つ年上で46歳の若さで亡くなった。
夏は終わって、お彼岸の今、江戸期の怪異掌編99編で構成したこの連作マンガを読んでいる。100話目を読者に委ねているところがミソだ。
杉浦さんは月刊『ガロ』1980年11月号で吉原遊郭を題材にした『通言・室之梅』でマンガ家デビュー。以降、確かな時代考証と軽妙な語り口、浮世絵に習ったしなやかな描画で市井の人々の生き死を活写する独自の作風を確立。そのマンガ作品は現代に蘇る黄表紙といった趣だった。
江戸風俗研究家や蕎麦愛好家としても知られ、30年ぐらい前にNHK総合でやっていた歴史バラエティ『コメディーお江戸でござる』では軽妙な語り口で江戸文化・風習の解説役を務めていた。
もしご存命であれば、おそらく嬉々とした表情で今年の大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』の解説(吉原遊郭の流儀、戯作文化と作者群像、日本橋の人々の商いぶりなど)をNHKの番組で彼女ならではの視点と情熱を込めてしてくれたことだろう。おばあちゃんになった杉浦さんを見たかった。ほんとうに残念でならない。合掌。