『その女、ジルバ』はやはり原作も素晴らしい!
各方面から大絶賛のTVドラマ『その女、ジルバ』ですが、原作マンガを読みました。こちらも素晴らしい。決してうまい絵ではないですが、不思議な柔らかさとそれでいて感情表現の鋭さがあり、台詞回しも上手。全5巻しかないので一気に読めば1日かからない。それではもったいないので月に1~2巻ぐらいのペースで大切に読んでいこうと思います。
原作マンガを読んで、逆にTVドラマ制作陣の意図も見えてきたような気がします。大きな枠組みはドラマも原作通りなのですが、マンガでは主人公アララの同僚2人にあまり重きが置かれていません。ふたりとも単なる同僚おばさん風に描かれ、名字しかわからない。もちろんアララの店に来たりしない。元恋人の課長も原作には居ないし、ドラマのようなリストラ騒ぎも(1巻の時点では)ない。ジルバやオールドジャック&ローズのクジラママ、ひなぎく、エリー、なまこもTVでは微妙にキャラが違うし、中尾ミエ演じるチーママはまったくの別人となっている。各人の人物造形は俳優陣の底力もありTVドラマの方が深い。
その代わり、原作では故郷福島への帰郷時のエピソードがわりとしっかり描かれています。マンガの連載開始が2011年6月と言うことなので「復興」「再生」がモチーフとなっていることは確かでしょう。福島の復興・再生。四十女の復興・再生。そして通奏低音としての日本人南米移民の歴史。どこかあっけらかんとしながら骨太の人間ドラマ。今夜も放送が待ちきれない。
僕の中では山田参助『あれよ星屑』以来の生涯保存版マンガとなりそうです。