プログレッシブな日々

混沌こそ我が墓碑銘。快楽の漸進的横滑り。

シンプル・マン

まだガキだった頃、ママにこう言われたのさ。

「私の横におすわり。そしてよくお聞き、かわいい坊や。

これから私が言うことをしっかり聞いて、守りさえすれば

きっと明るい明日がまっているはずよ。

自分の時間を大切にしなさい。焦ってはダメ。

トラブルは、いつか時間が解決してくれる。

さあ、自分にぴったりの女の子を見つけに行きなさい、恋をするのよ。

そしてね、天上にいる方について、けっして忘れないこと」

レイナード・スキナード『シンプル・マン』拙訳)

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シンプルなことほど難しい。「自分にぴったりな女の子」っていうところで、たいていの息子たちは、まずつまずくに違いない。わたしはかなりつまずいた。「自分の時間」を無駄にしまくったし、「天上にいる方」なんて鼻もひっかけずにここまできた。「自分にぴったりな女の子」──たしかにそれが分かれば、苦労は少ないと思うのだが。

ところでこの『シンプル・マン』という曲は、北朝鮮に拉致された蓮池薫さんが、大学時代に大好きだったと聞いたことがある。レイナードやオールマンなどサザンロックのファンだったらしい。そういえばちょうど彼が拉致された頃、ヴォーカルのヴァン・ザントらメンバーとツアークルーが乗った飛行機が墜落し、バンドは瓦解した。北朝鮮で蓮池さんがこの歌詞を思い起こしていたとしたら・・・とんでもなく悲しく、意味深い曲のように思える。

 

レーナード・スキナード

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