プログレッシブな日々

混沌こそ我が墓碑銘。快楽の漸進的横滑り。

ウイークエンド銭湯

 

f:id:indoorffm:20200114165747j:plain

2019年11月末で廃業した清瀬市最後の銭湯「峰の湯」

昨年は清瀬市内の銭湯3店が廃業し、とうとう市内で営業する銭湯がゼロになってしまった。
もともと市内の銭湯の多くは5カ所あった大規模な都営アパートの近くにあった。昭和30年代後半、前回の東京オリンピック前に造成されたそれらアパート群は平屋で風呂無しだったのだ。都営アパートの住民は基本的に銭湯に通った。風呂はなかったが3〜4坪ほどの小さな庭が付いていたので各世帯は庭に花壇をつくったり、コンクリを引いて車庫にしたりしていたが、そのうち庭に浴室を増設する世帯が増えてきた。僕が中学生だった昭和50年前後には半数以上の世帯が浴室を増設していたと思う。それでも多くの住民が銭湯に通った。中1の時にわが家を改築した際、しばらくの間僕は銭湯に通った。銭湯の浴槽の中には都営に住んでいる級友がいて「おっす!」と挨拶した。出入り口で湯上がりの女子と鉢合わせしてドキドキしたりもした。都営アパートは21世紀に入ると再開発が進み、次々と高層化された。住民は増えたが銭湯に通う客は激減した。経営者も高齢となり、跡継ぎもいない。結局、市内最後の銭湯が昨年11月末に廃業してしまった。昨年後半「峰の湯」というその銭湯に意識して通った。おじさんが一人で何から何までやっている銭湯で、毎回、見事な刺青の兄さんたちと浴室で一緒になって思わぬ芸術鑑賞を楽しんだ。

市内に銭湯はなくなったが、隣の東久留米市にはまだある。わが家から自転車で10分少々のところに2軒もだ。そのうち1軒の「第二喜多乃湯」に初めて行った。瓦屋根に煙突の昔ながらの風情の建物。お湯は熱め。追加料金無しでサウナを利用できるのがうれしい。浴室のタイル絵は少々変わっていて、黄色と紺色を基調にした太陽に向かって羽ばたいているフェニックスの絵。抽象度が高く南米テイストの現代アートといった感じ。ロビーにはマッサージチェア、清涼飲料水とビール類の自販機、そしてアイスクリームの冷蔵庫がある。

f:id:indoorffm:20200114165838j:plain

東久留米市の「第二喜多乃湯」。サウナ無料がポイント高い。

 

「第二喜多乃湯」ということで「第一」があるわけだが、実はそれは清瀬駅前にあった。昨年3月で閉業。いまは「喜多乃湯」はここしかないが「第二」の名称はそのまま残っている。次回はもう1軒の「源の湯」に行ってみたい。こちらは鉄筋コンクリートの店舗ビル兼用の銭湯。煙突はないのでガスで沸かしているのだろう。

f:id:indoorffm:20200114170002j:plain

清瀬市中里、柳瀬川のほとりにあった銭湯「伸光湯」。近くにあった都営アパートが数年前に高層化されてから週3日営業となっていたが、2019年秋、いつのまにか閉業していた。