プログレッシブな日々

混沌こそ我が墓碑銘。快楽の漸進的横滑り。

銅像になってしまった園長先生

私の出身幼稚園の門の所に創立者夫妻の銅像が建っている。

f:id:indoorffm:20180913200557j:plain

園長夫妻の銅像。妻が園長。夫はおそらく理事長だったんだと思うが、園児の前にはほとんど登場することはなかったので顔はまったく覚えていない。

 

わが家から1kmもない所で隣にマルエツがあるため、今もしばしばその前を通る。

何を隠そう私はこの幼稚園の第一期生なのだ。

入園式前日、私は自分の母親、近所の友だちとその母親とで園庭に入って遊んでいた。

いまではあり得ないことかもしれないけれど、まだ開園していないのに普通に園内に入れた。

子どもたちはピカピカの遊具で遊び、母親たちはおそらく子どもたちの明日からの幼稚園生活について話をしていた。

そこへ園舎の中からニコニコしながら中年女性が出てきて「こんにちは!」と母親たちに挨拶した。

「明日からヨロシクね」と私たち子どもに向かってもていねいに頭を下げ挨拶した。

それが園長先生だった。派手な顔立ちの女性でパーマのかかったヘアスタイルが

その年の夏に放映が始まった特撮TVドラマ「マグマ大使」の悪役ゴアに似ていた。

幼稚園の行事では羽織袴の和服を身につけていたことも覚えている。

僕は家庭の都合でその幼稚園に合計1年ちょっとしか通っておらず、

結局、なんだかんだあって卒園もしていないけれど、

今は銅像になってしまった園長先生のとびきりの笑顔が

自分の子ども時代、すなわち人生の始まりのような気がしているのだ。