プログレッシブな日々

混沌こそ我が墓碑銘。快楽の漸進的横滑り。

森岡先生が教えてくれたサッカーの楽しみ

 

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サッカー日本代表ハリルホジッチ監督の解任は今もって解せない。この決定をした責任者である日本サッカー協会会長の田嶋幸三という人は、いったいどういう人なのかをネットで調べてみると、むしろ世界のサッカーをよく知る国際派といっていい経歴であり、余計にワケがわからなくなった。

そのプロセスで懐かしい名前に出会った。筑波大学学蹴球部(サッカー部)元部長の森岡理右氏である。森岡氏は監督として田嶋幸三氏のほか、僕と同い年の風間八宏鈴木淳といった名選手を育て、筑波大学サッカーの基礎を築いたレジェンドだ。

下記で森岡先生のインタビューが読める。風間、鈴木両選手に関しては圧倒的なテクニックを賞賛しているのに対して、田嶋選手は「最もよく練習をし、相当な努力家」と評されているのが興味深い。

森岡理右先生インタビュー(旧サイトより転載) | トラウムトレーニング


で、実は僕もこの森岡先生に2年間ほどサッカーを教えてもらったことがある。僕の通っていた私大で非常勤講師として体育(サッカー)の授業を受け持っていたのだ。当時、先生は40代半ばぐらいだったと思う。授業自体は、あくまでレクリーションとしてのサッカー指導なので、先生が冗談を連発しながらのゆる〜い雰囲気だった。ただそんな中でも、最新の欧州や南米でのコンビネーションプレイやフォーメーションの練習を取り入れるなどして、サッカー好きにはなかなか勉強になる授業でもあった。

雨天の際は教室内でビデオ鑑賞会と相成る。先生は筑波大学からたくさん持ってきたビデオテープで国内の高校サッカーや実業団サッカーの決勝戦などをダイジェストで見せたあと、ワールドカップの強豪国同士の試合のハイライトを鑑賞させた。一通り見せると「どう?」といたずらっぽく学生たちに問いかけた。「日本と世界、何が違う?」。「何が違う」って、技術もスピードも強さも全部違う。日本サッカーが世界で勝てるわけがないことが一目瞭然だった。
先生はビデオテープを巻き戻しながら、世界の最先端サッカーの凄さと日本サッカーの及ばない点を面白おかしく解説してくれた。1979年に日本で開催された FIFAワールドユース選手権で鮮烈な印象を残した10代のマラドーナの凄さもこの授業で知ったと思う。
今、振り返ってみると、森岡先生は僕たちシロート学生のサッカーを見る目を育てていたんだと思う。もともとジャーナリスト出身だった森岡先生の頭の中には、一人でも多くの熱心な、そして見る目のあるサッカーファンを育成することで、日本のサッカー文化を盛り上げたいという夢があったのかもしれない。

1年生では月曜の1限というもっともサボりたい時間の授業だったが、僕はこの授業が楽しみで、結局、皆勤賞だった。2年生でも迷いなく森岡先生のサッカーの授業を選択し、最初の授業に出た。「アレ、お前留年したのか?」「いえ、先生、僕まだ2年生です」「あ、そうだったの? な〜んか態度でかいから去年の2年生かと思ってた」。

ひどいわ森岡先生。