女子にはわからぬヒゲの話。
今週はひたすら原稿を書き、企画をまとめる週ということで、もう3日もヒゲ剃っていない。明日からは外出・出張続きなのできれいさっぱりヒゲを剃り、連日のようにスーツを着ることになるだろう。
先日亡くなったキューバのフィデル・カストロは戦闘服とヒゲ面がそのカリスマ性のシンボルだった。冷戦時代に何度もカストロの暗殺を試みていたCIAは、そのヒゲをなくせばカリスマ性もなくなるだろう……という冗談みたいな理由で、特殊な薬物によるヒゲをなくさせる作戦を実行したが、その企てが成功することはなかった。晩年のカストロは戦闘服ではなく米国のアディダスのジャージ姿だったけれど、特にカリスマ性が減退したように思えなかったので、たとえCIAのヒゲ抜き作戦が成功しても彼の地位はビクともしなかったと思われる。
ヒゲの話であった。20代では3日に一度剃れば十分であった。30歳過ぎた頃から、朝剃っても、夕方じゃりじゃりするようになった。きれいに剃りたくていろいろな安全カミソリを試してみた。最初は2枚刃だったが、この四半世紀で製品は5枚刃まで進化した。いろいろ試してみたが、結局、3枚刃ぐらいがいちばん使いやすい。ビジネスホテル備え付けの2枚刃の使い捨て安全カミソリがあるが、あれが意外と悪くないし、コンビニでも売っている2枚刃の使い捨ても使いやすい。
今はシックの3枚刃とジレットの5枚刃を併用している。ベースのホルダー部分は刃の数が増えてもそれほど価格差はなく、かえって新製品は安売りしているのでつい買ってしまう。しかし、刃の数が増えると替え刃の価格が高くなる。つまり、これはパソコンのプリンターと同じ商売の仕方(英語で言うとビジネスモデル)で、なにかしてやられた気分になる。しかも、プリンターのインクには純正以外の廉価製品という選択肢があるが、安全カミソリの替え刃にそれはない。
刃の数が多くなっても、TVCMでやっているように、一剃りですっきり剃れるということはない。刃が増えるほど、カミソリ部分の幅が広がり、鼻の下や口元などが剃りにくくなって、かえって面倒だったりもする。ヒゲの質にもよるのだろうけれど、電気シェーバーも相性が良くない、ブラウンやフィリップスを試してみたが、いまいち。いつか国産メーカーも試してみようと思うが、肌と刃の間に金属板が介在する電気シェーバーの爽快感に欠ける剃り味があまり好きではないのだ。
ところでこういう話は女子のみなさんが聞くとどんな印象を持たれるのだろう。伊丹十三のエッセイ集に既婚女子による「生理についての座談会」というのが収録されていて、10代の僕は目の中が鱗だらけでのけぞるぐらい面白かったのだが、それに比べるとヒゲの話はちとせせこましいような気がしてきた。
以下、現在愛用の安全カミソリを紹介。
※「キレてなーい!」のCMでおなじみの安定の使い心地。が、近年になって替え刃が何故か値上がりし、逆に耐久性が落ちているような気がする。同じホルダで使える安価な2枚刃替刃があるのでそっちにしようかな。
※カートリッジの裏に、鼻の下など5枚刃だと剃りにくい箇所を剃るための1枚刃(ピンポイントトリマー)が内蔵されている。で「5+1」というわけ。慣れれば使いやすいことは確か。