『魔太郎がくる!! 』の正義?
近頃、またしても「いじめ」問題で世間が喧しい。しかし、これはきわめて根深い、人類文明の古典的な問題であり、現代特有の問題としてクローズアップされている構図に少々違和感を覚える。
写真賞を受賞した作品に笑顔で写った数日後に自ら命を絶った青森の少女。写真をめぐる大人たちのゴタゴタがなんとも言えず無様であった。
いじめられていることを親にも言えず、最終的にはナイフでいじめた相手を斬りつけた暁星高校の少年。ネットで彼が自殺せずに相手に仕返ししたことを賞賛する声も聞かれ、まあ、なんというかもにょんとした気分になった。
自殺でなく復讐を選択する弱者。
ということから、子供の頃に読んだ藤子不二雄の『魔太郎がくる!! 』を思い出した。当時私のクラスにも容貌&雰囲気から「魔太郎」と呼ばれていじめられているヤツがいた。本人はひどく傷ついていたはずだが、それはそれで小学校の風物詩となっていた気がする。また、いじめる側も弱い人間の追いつめられた時の怖さをある程度認識して手加減もしていた。そこらへんが今の子供と違う部分でもあるのかもしれない。
しかし・・とここで言いよどむのだが、実は子供のメンタリティーに今昔の本質的な違いはそれほどないようにも思える。で、何が違うかというかだが、簡単に言えば子供たちを見守る側のアティチュードじゃないかな。たとえばこの『魔太郎がくる!! 』が現在の少年向け雑誌に連載されていたら、いったい世の反応はどういうことになるだろうか? ……そういうことじゃないかと思う。
【追記 17:08】
下のAmazonのリンク先のレビューを見ると、現在流通している「魔太郎」は、かなり問題あるエピソードや場面が割愛&改変されているらしい。……そういうことじゃないかと思う。
魔太郎がくる!!―うらみはらさでおくべきか!! (1) (少年チャンピオン・コミックス)
- 作者: 藤子不二雄A
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 1999/11
- メディア: コミック
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