プログレッシブな日々

混沌こそ我が墓碑銘。快楽の漸進的横滑り。

6月の空。


Joy Division - Love Will Tear Us Apart (best audio)

 

いつもの仕事がつらくなり

やる気が減退しているとき

 

怒りがつのっても

感情が高ぶらないとき

 

僕たちは方法を変えて

違ったやりかたを試すようになる

 

そんなとき愛はまたしても

僕たちを引き裂くんだ

 

Joy Division 「Love Will Tear Us Apart」)

 

 

  5月とはどことなく違う6月の空を眺めていたら、なんとなくジョイ・ディヴィジョンのベスト盤を聴きたくなった。ザ・キュアーやシスターズ・オブ・マーシーなどその後登場するゴシックロックの先駆であり、がっくりした気分で聴く音楽としては最悪のチョイスだ。しかし、魔に見入られた様にCDをプレーヤーにセットし、冥界からの呼び声のような音楽を聴いた。

 ご存知ない方もいらっしゃるかと思うので説明すると、この「冥界からの呼び声」は比喩ではない。リーダーでヴォーカリストイアン・カーティスは、1980年に首つり自殺している。セカンドアルバムの「クローサー」は、その直後に発売された。当時、それを購入した私は、見入られた様に毎日聴き続けていた。バンドの支柱を失った残りのメンバーは、その後、ニューオーダーとして復活。カーティスの死を無機質なダンスビートで歌ったブルーマンデーで、世界的な大成功をおさめる。ここらへんの成り行きは、精神に異常を来したシド・バレットを欠いた地味なメンバーがバンドをプログレとして復興したピンク・フロイドと相似形かもしれない。

 ロックアーティストはドラッグやら飛行機事故やら、不幸で派手な死に方をするが、首つり自殺というのは私の知る限り、イアン・カーティスとバッドフィンガーのピート・ハムくらいだ。それぞれ理由が家庭とお金の問題というのが泣かせる。

昨日、iPodに入れたジョイ・ディヴィジョンを聴きながら、クライアントを訪ねたら、「なにかお具合でも悪いんですか。すいません、いつもいそがせちゃって」といきなり謝られてしまった。ご心配おかけしました、ジョイ・ディヴィジョンと6月の空のせいなんです。

 

 

The Best Of

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