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プログレッシブな日々

混沌こそ我が墓碑銘。快楽の漸進的横滑り。

「エライ人ぞな」。

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今日の通りすがり。鶯谷のホテル街に囲まれ佇む「子規庵」。

人間は最も少ない報酬で最も多く働く人ほどエライ人ぞな。一の報酬で十の働きをする人は百の報酬で百の働きをする人よりエライのぞな。入の多寡は人の尊卑でない事くらゐ分つとろがな。人は友を撰ばんといかん。「日本」には正しくて学問の出来た人が多い。

寒川鼠骨『随歿子規居士』)

 

ここに出てくる「日本」は国名ではなく、新聞の名前。東京朝日などと給料の値踏みをして就職先を決めようとした寒川に、松山中学の先輩である正岡子規が病床にあって上のように懇々と説諭したという。「人は友を撰ばんといかん。」というのがいい。陸羯南が主宰した「日本」には三宅雪嶺長谷川如是閑内藤湖南らが居た。

 

私も「一の報酬で十の働き」をしている友を何人か知っている。子規は35歳で死んだから、「エライ人ぞな」なんて気楽な事が言える。しかし、多くの人は「オブラディ・オブラダ・ライフ・ゴズ・オン・ブラア~」である。いつまでたっても一の報酬ではまずいだろうとも思う。

子規の門人として師の偉業を後世に伝える活動に粉骨砕身した寒川は、ついに自分の句集を編むことなく生涯を終えた。