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プログレッシブな日々

混沌こそ我が墓碑銘。快楽の漸進的横滑り。

追憶のカースティ・マッコール

The Anthology

 

12月になると聴きたくなる曲の一つが、ザ・ポーグス『フェアリーテイル・オブ・ニュー・ヨーク』(下記リンク)。この曲でポーグスのシェイン・マクガウアンとデュエットしているのがカースティ・マッコールだ。この時期にこの曲を聴きたくなるのは、クリスマスソングであることももちろんだが、カースティの命日が今日だからでもある。

The Pogues Featuring Kirsty MacColl - Fairytale Of New York (Official Video) - YouTube

 

2000年12月18日、二人の子どもとともにメキシコ湾の島でダイビングを楽しんでいた彼女は信じられないような事故によって亡くなった。まだ41歳だった。僕より2歳上、ほぼ同世代だ。事故(とその後)については、下記サイトに要を得た記述がある。

K・マッコール死亡事件 捜査打ち切り (2009/12/11)| 洋楽 ニュース | RO69(アールオーロック) - ロッキング・オンの音楽情報サイト

子を持つ親であれば、なんともやりきれない思いを抱かせる顛末である。


僕が彼女に深く関心を抱いたキッカケは、やはり大ヒットしたトレイシー・ウルマン「ゼイ・ドント・ノウ」によってだった。カースティのデビュー曲でもある。無意識の記憶の底に沈殿していたメロディーを呼び覚まされるこのメロディーとハーモニーに、初めて聴いた30年以上前から現在までずーっと心臓を鷲掴みされ続け、思わず知らず涙腺がゆるんでしまう。繰り返せば現在もなお…である。同様の曲にヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーター「レフュジー」やビートルズ「イン・マイ・ライフ」などがあるが、人生の中でこうした音楽にいくつか出会えたことは僥倖というしかない。

彼女のキャリアを遡っていくことは、宝探しのような楽しさがあった。パブロック系のスティッフレーベルからデビューしたが、ソロ活動は決して派手ではない。しかし、10年間夫婦だったスティーブ・リリーホワイトとのコラボレーションによってトーキングヘッズやザ・スミスの面々との共演も果たしているし、前述のポーグスやトレイシー・ウルマンとのコラボレーションも実り多いモノだった。パフォーマーとしてもたいへん魅力的な彼女であるが、何より死後も高く評価されているのは、その楽曲の素晴らしさだろう。「ゼイ・ドント・ノウ」に顕著だが、オールディーズが持つ時に磨かれた深みとニューウェーブ的なアッパーなポップセンスが奇跡的なバランスの中で解け合っている。全盛期のポール・マッカートニーやブライアン・ウイルソンに比肩すべき才能なのではないかとも思う...というのは言い過ぎか。しかしそれだけに早世が惜しまれる。

 

彼女のことを思い、こうやってキーボードを叩いているだけでも、なんだか視界がぼやけてくる。老眼のせいじゃありませんよ。今日はもうあきらめてカースティのメロディにどっぷり身を委ねることにしよう。'Cause they don't know 'bout us…


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