プログレッシブな日々

混沌こそ我が墓碑銘。快楽の漸進的横滑り。

マーク・ボランが死んだ夏休み明け

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1977年の髙1の夏休み。その年は極端な冷夏だった記憶がある。野外も部屋の中も冷え冷えとする。もちろん、何日かはいわゆる夏日もあったのだろうが、寒々とした記憶ばかりが残る奇妙な夏だった。

そうなのだ。ほとんど暑かったという記憶はない。そんな夏は私の人生の中でその年だけだ。

その夏休みの最中にエルビス・プレスリーの訃報を聞く。エルビスにはさほどの思い入れはなかったが、やはり「時代の終わり」みたいな感慨はあった。まさかその3年後にジョン・レノンが死ぬなんて想像だにしなかったのだが。

夏らしくない夏があけて、新学期が始まってすぐ、今度はマーク・ボランの訃報を聞く。9月16日。こいつはコタえた。すでにグラムロックの時代は過ぎ去り、ハードロックとプログレが僕の中の中心世界だった。ジョン・レノンは主夫になっていた。ヨーロッパに向かったボウイもプログレッシブな世界に足を踏み入れていた。すっかり過去の人だと思っていたボランだが、その当時、台頭しつつあったロンドンパンクの面々にリスペクトを受けていたことなど、極東の高校生には知るよしもない。

しかし、死なれてみてその存在が自分の心の中に深く巣食っていたことに改めて気付いた。しかもミニクーパーでの交通事故死だという。30歳になるちょうど2週間前。Don't trust over 30 .....かっこいいじゃないか!ボランらしいじゃないか!ちきしょうめ!!関係ないが、9月末に開催された文化祭のクラスの出し物はお化け屋敷であった。死にたてホヤホヤのボランの扮装でもしてやろうかと思ったが、やめた。

寒い夏休みが終わって、震えるような秋の訪れ。僕は「スライダー」を何回も何回も聴いた。やはりすごいと思った。ワンパターンの繰り返しの中に、底知れない世界が広がっている。なんだこの声は!なんだこのギターは!? いったいミッキー・フィンのパーカッションは必要なのか?…….以来、50代の今日までマーク・ボランジョン・レノンとともに私の心の故郷のような存在である。

そんなわけで、歌詞にジョン・レノンの名が出てくる「スライダー」収録のこの曲で追悼したい。「火星のボールルーム」


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