Memento mori 〜 死を憶(おも)え〜
お盆で空いている電車に揺られながら、掌の中のぬくもりが消え去っていく。
デスクのパソコンのキーを叩きながら、遠くの方で起きている爆撃の音を聞いている。
私たちの中の宗教が、私たちをジェノサイドの崖っぷちに誘っていくのを
世代を超えて待っている気分はどうだい?
私たちが信じる哲学が、私たちが愛する芸術が、そして私たちが信じる平和が
私たちを孤立した牢獄に導く道だと言うことを信じられるかい?
爆音は、私と君の頭の中で、名残を惜しむ様にいつまでも鳴っている。
南京で、ノモンハンで、広島で、長崎で、東京で、沖縄で、
朝鮮半島で、ベトナムで、カンボジアで、東チモールで、ミャンマーで
アフガンで、イラクで、シリアで、パレスチナで、ダルフールで、
私たちは何人もの麗人が舞い降りてくるのを、
ただ自らの無聊を慰めるように眺めて来たのだ。
しかし、爆音は頭の中で鳴り続けている。
いつかそれが頭の外に出るときまで。
やりきれない灼熱の平和の中で、埃をかぶったギターを手に取り、歌う。
だが、5弦開放A音のチューニングが、どうしても合わないのだ。
C Em Am F
世界は がらくたの中に 横たわり
C Am Dm G
かつては とても 愛していたのに
C Em Am F
今 僕にとって 死神はもはや
C Am Dm G
それほど 恐ろしくはないさ
C Em Am F
さようなら世界夫人よ さあまた
C Am Dm G
若くつやつやと 身を飾れ
C Em Am F
僕らは 君の泣き声と
C Am Dm G
君の笑い声には もう飽きた
(頭脳警察「さようなら世界夫人よ」詩:ヘルマン・ヘッセ(1944年)/訳:植村敏夫)
※コード違っていたらスマン