プログレッシブな日々

混沌こそ我が墓碑銘。快楽の漸進的横滑り。

音楽

今年最後の読書:『JAMJAM日記』(殿山泰司)

JAMJAM日記 (ちくま文庫) 「ほとんどの日本国民同様、おれも気が付いた時には、殿山さんの顔を知っていた」と本書の巻末解説で山下洋輔が書いている。山下よりずっと年下の私も同じである。物心ついた時には殿山さんの顔を知っていた。子供の心に深く…

「ニック・アダムスのように」を探して

1982年、このアルバムの発売直後に「ロッキン・オン」で松村雄策が賞賛の記事を書いた。それを読んで僕はまず貸しレコード屋に走って、借りたレコードをカセットに録音して何度も何度も聞いた。カセットがヘロヘロになったころ、レコードを買って何度も何度…

安部公房の“遺作”である『カンガルー・ノート』を読了

安部公房の“遺作”である『カンガルー・ノート』を読了。 読めばわかるが、本作は作者が自らの寿命を意識しつつ「性=生」と「死」の問題をモチーフとする中編である。大きな特色としては安部作品のなかでも特筆すべき「軽妙」さだろう。脛から生えてくるかい…

『ZAPPA』観てきたよ。

www.youtube.com フランク・ザッパのドキュメンタリー『ZAPPA』を観た。オープニングはビロード革命後、ソ連軍が撤退したチェコで大観衆に迎えられたライブのシーン、なんてタイムリーなんだろう。当時のチェコではザッパとはロックそのものであり、自由の象…

日本経済新聞に音楽と釣りのオンラインレッスンについて書きました。

www.nikkei.com

数十年も気になっていた「ハーメルンの笛吹き男」(阿部謹也著・ちくま文庫)を読んだ。

ハーメルンの笛吹き男 ――伝説とその世界 (ちくま文庫) 数十年読もうと思ってそのままになっている本というのが何冊かある。本書はそのうちの1冊だった。先月、最寄りの書店にNHKのラジオ英会話テキストを買いに行った時、棚に見つけて一緒に購入した。最初に…

妹の誕生日

youtu.be そうだ! 今日は妹の誕生日であった。生まれたのは東京五輪があった1964年。出産を控えて僕は兵庫県西宮市の母の実家に預けられた。その往路はまだ新幹線がなかったので東海道本線特急「こだま」であった。まだ2歳半だったけど、当時のことは断片的…

@stayhome お一人様セッション~ The Beatles 「ノルウェイの森(Norwegian Wood)」

soundcloud.com

今週の宅録「不倫はいけない!Norwegian Wood (This Bird Has Flown) Cover」

#Stayhome の #宅録、今回はビートルズ。シタールの音はオートワウとフランジャー、コンプレッサーで作りました。相変わらずミスしてもそのままごまかしています。鈴の音はMacのGarageBandのプリセット音をマウスのクリックで演奏しています。 soun…

今週のStayhome宅録 : アジるプラウド・メアリー(Agitation of Proud Mary)

#stayhome #宅録 お一人様宅録1テイクセッション。またもやクリーデンス・クリアウォーター・リバイバルのヒット曲でやってみました。合計5トラックで録音時間合計約30分。GrageBandのヴォーカルエフェクトにMegaphone(メガホン)というのがあって、これを…

「サイケデリックな雨を見たかい?(Have you ever seen the psychedelic rain ? )

#stayhomeの娯楽として、人の曲に合わせてベースを弾くのも飽きてきたので、自分で全部やってしまおう…ということで昔コピーバンドでやっていたC.C.Rの「雨を見たかい」をMacの音楽制作ソフトであるGarageBandを使って宅録してみました。 演奏は割と普通にコ…

弾いてみた。アンディ・フレイザーに捧ぐ。

youtu.be

「 STONE LOVE BASS ODYSSEY」を参考に" Girls On Film." を弾いてみた。

www.youtube.com デュラン・デュランのベースプレイヤーであるジョン・テイラーが各曲のベースラインを自ら弾きながら、奏法解説と音楽的経歴について語るYouTubeのStayhome企画「 STONE LOVE BASS ODYSSEY」を楽しみにしている。現地時間の毎週水曜日に新し…

Stay Home Sesssion Vol.1

家に居る時間が長くなったのでこれまでなかなかいじれないでいた楽器に触れる機会が増えた。 ■ステッペンウルフ「ワイルドで行こう!」 こういう若い頃に覚えた曲は楽器を手にするとだいたい思い出せる。でも、最近覚えた曲はすぐ忘れてしまう。つらい。 www…

ファンサービスとしてのTHE BEATLES 『 From Me To You』

youtu.be 今でこそビートルズはポップミュージックの巨人だし、ロック音楽の開祖であり、ジョン・レノンは愛と平和の詩人だが、そもそも彼らはリバプールからポッと出のアイドルグループだったのだ。この曲など「ファンの女の子たち、僕たちのレコードを買っ…

本日の業務用BGM&免疫力を高める音楽

タイトル曲「HELP」はレノンがショービズの喧騒に嫌気がさしてあげた悲鳴だ。そんなネガティヴなモチーフを極上のポップサウンドに仕上げてしまうのが当時のビートルズのすごさだろう。世界中にHELPの悲鳴が鳴り響く今、見習いたい諧謔精神とクリエイティビ…

アマチュアとして生きる。

体験という言葉の空しさ。体験とは実験ではない。それは人為的にひき起こすこともできぬ。ひとはただ、それに服するのみだ。それは体験というより、むしろ忍耐だ。ぼくらは我慢する──というよりむしろ耐え忍ぶのだ。あらゆる実践、ひとたび経験を積むと、ひ…

屋上の思い出 〜51年前と30年前の〝Rooftop Concert〟

今日はThe Beatlesにとって最後のセッション、通称の記念日です(1969年1月30日)。クライマックスで屋上まで昇ってきた警官たちに演奏を止められるシーンは、グループの解散や世界的な学生運動の退潮と相まって、多くの人に時代の終焉を印象付けたことだろ…

2019年のロック新譜6選

2019年bのロック新譜6選 The Winstons『SMITH』テクニカルだけどユーモアたっぷりのウインストン・サウンドが冴え渡る。ファーストより皿に一歩熟成度を増した。 Big Big Train『Grand Tour』 英国近代史をモチーフとした作風が続く。ややマンネリ化しつつあ…

「ヒカシュー 天然のクリスマス」最高でした!

ヒカシュー 天然のクリスマス 今年結成40周年を迎えたヒカシューのクリスマスイベントに二年ぶりの参戦。オリジナルメンバーの井上、山下両氏のイノヤマランドをオープニングアクトに、大槻ケンヂと小川美潮がゲストという豪華ラインナップ。ちなみにイノヤ…

『花の命はノー・フューチャー ─DELUXE EDITION 』(ちくま文庫)を読んだよ。

花の命はノー・フューチャー: DELUXE EDITION (ちくま文庫) 昨夜〜今日のお昼までは風邪?で寝たきりに近かったので長らく積ん読しておいた本書を読んでいた。たまには風邪をひくのもいいものだ。 英国ブライトンの貧民街に住む鬼才コラムニストの著者のデビ…

ザ・ビートルズ・サウンド 最後の真実 <新装版> ジェフ・エメリック

ザ・ビートルズ・サウンド 最後の真実 『Abbey Road』のリマスター版を買ったせいもあり、今月はビートルズを良く聞いた。今聴くとスカスカでシンプルなビートルズ・サウンドだが、半世紀近く聴いていても、その隙間から未だに新発見が顔を覗かせるからすご…

ジョン・レノンの逆襲

www.youtube.com 今日はジョン・レノンの誕生日である。生きていれば79歳。 ビートルズ後のジョン・レノンの音楽がオノ・ヨーコと込みで語られることにとても抵抗がある。僕はむしろジョンの音楽活動のフォーカスを鈍らせた主犯がオノ・ヨーコだと考えており…

「全裸監督」8月のファンタジー

8月の個人的ハイライトといえば、やはりNetflix「全裸監督」の公開だろう。これは実に良くできたドラマで、十分な資金と時間をかけて、そして何よりスポンサーや世間への過度な忖度さえなければ、日本でもこれだけのレベルのドラマを製作できるのだと、あら…

『はじまりのゼルダ 最初期音源集 1980-1982』雑感

はじまりのゼルダ 最初期音源集1980-1982 なぜか突然発売されたゼルダ草創期の貴重な音源集。 僕がもっとも好きなゼルダは、ギターのフキエさんとドラムのアコさん加入後の3枚『カルナヴァル』『空色帽子の日』そして個人的には最高傑作の『C‐ROCK WORK』。 …

NETFLIXのオリジナルドキュメンタリー『リマスター:ロバート・ジョンソン』雑感。あるいは私の「27クラブ」

www.youtube.com NETFLIXのオリジナルドキュメンタリー『リマスター:ロバート・ジョンソン』を見た。 ジョンソンに関してはかなり研究も進み、私も伝記やドキュメンタリーに接しているのでこの番組にはそれほど目新しい情報はなかったが、最新の研究成果を…

『The White Album』 Morgan Jamesが素晴らしいぞ!

youtu.be 今日は短めの文章を数こなす仕事だったので、なにかいいBGMはないだろうかと探して見つけたのがこれ。ミュージカル女優でR&B系ヴォーカリストでもあるモーガン・ジェームスによるビートルズ「ホワイト・アルバム」の全曲カバーである。モーガン…

アンプラグドってみました。

アンプラグドてみました。「JJFブルース」エレキをアンプにつながない正統派アンプラグドです。テレキャスター・シンラインはこういう時に便利だな。

“頑張らなくていいよ”とジョージは言った。

George Harrison - Cheer Down 「無条件で涙を流せる曲を何曲持てるかが、その人の人生の価値を決める」 などと、有名な人の言葉のように太字「 」付きで書いてみたが、たった今の思いつきである。 今日はジョージ・ハリスンの命日で、僕はジョージの曲に「…

ほんとうに「クイーンは日本の少女たちが発見した」のか? 

大島弓子『ほうせんか・ぱん』(1974年)より 世間ではクイーンの伝記映画が盛り上がっていて、その語られる文脈の中で「クイーンは日本の少女たちが発見した」というものがある。ほんとうだろうか? 確かにデビューアルバムは本国で不評だったようだが、セカ…