プログレッシブな日々

混沌こそ我が墓碑銘。快楽の漸進的横滑り。

NHKスペシャル「“樹木希林”を生きる」を見たよ。

NHKスペシャル | “樹木希林”を生きる さる9月26日に放送されたこの番組を予約録画して、見るタイミングを考えていた。 それなりに心の状態を整えてから見たほうがいいような気がしたからだ。 でも、結局、先週の仕事の締切に追われる慌ただしさの合間を縫っ…

『明治維新という過ち 〜日本を滅ぼした吉田松陰と長州テロリスト』雑感。

明治維新という過ち 日本を滅ぼした吉田松陰と長州テロリスト〔完全増補版〕 (講談社文庫) とある著名女流歴史小説家が、時代の先が読めない無知な暴力集団である新撰組が大衆に人気があるのが解せない…と堂々と書かれているのを読んだことがある。新撰組は…

木田元『反哲学入門 』を読んだよ。

反哲学入門 (新潮文庫) しばしば大学の文系学部の学問が役に立たないという話題で盛りあがるが、役に立たない学問のうち最たるモノが哲学だろう。そもそも私たちは哲学とはなにかがいまいちよくわかっていない。 本書は癌から生還したばかりの著書が語り起こ…

銅像になってしまった園長先生

私の出身幼稚園の門の所に創立者夫妻の銅像が建っている。 園長夫妻の銅像。妻が園長。夫はおそらく理事長だったんだと思うが、園児の前にはほとんど登場することはなかったので顔はまったく覚えていない。 わが家から1kmもない所で隣にマルエツがあるため、…

『九人と死で十人だ』(カーター・ディクソン)雑感。

九人と死で十人だ (創元推理文庫) 参加しているとある書評サイトで、書評を執筆することを前提に献本として本書をいただいた。 カーター・ディクスンによるH・M卿ことヘンリ・メルヴェール卿モノの1作。これまで文庫化されたことがなかったようで、私も今回…

仕事や家事が滞りがちに… ストレス蓄積の兆しかも

style.nikkei.com7月28日(土)の日本経済新聞 ・NIKKEI プラス1に書いた健康記事です。なかなか夏バテから回復せず、夏休み明けのこの時期は憂鬱な気分になり、なにかとストレスをためやすいかもしれません。くれぐれもご注意を。

小学館「P+D BOOKS」礼賛

夏の砦 (P+D BOOKS) 以前は文庫本で代表作の多くが入手できた戦後昭和文学の作家たちの作品がいつのまにか入手困難となっている。 文庫本というのはある程度の古典は網羅するけど、戦後の作家など中途半端に古く、忘れ去られつつある作品群を絶版にしなけれ…

失われた名盤④『C-ROCK WORK』 ZELDA

C-ROCK WORK 1987年発表の第4作。ムーンライダースの白井良明がプロデュースした前作「空色帽子の日」(1985年)は、統一感溢れるサウンド構成によるコンセプチュアル・アートとも言える傑作で本作と甲乙つけがたいわけですが、本作も元四人囃子の佐久間正…

『絶滅の人類史〜なぜ「私たち」が生き延びたのか』(更科功 著)雑感

絶滅の人類史―なぜ「私たち」が生き延びたのか (NHK出版新書) 人間は万物の中で最もすぐれているものとされていた時代にはしばしば「万物の霊長」という言葉が使われた。最近はあまり使う人がいなくなったが、本書を読むとその理由がある程度理解できる。 …

S・アンダーソン『ワインズバーグ、オハイオ』新訳版を読んでみた。

ワインズバーグ、オハイオ (新潮文庫) 先日立ち寄った本屋で新訳を見つけたので買ってみた。かなり以前、小島信夫訳で読んだ記憶があるのだが、「なんだかアメリカの小島信夫みたいな小説だな」という印象のかけらだけが残った。アンダーソンはアメリカ20世…

『決定版 邪馬台国の全解決』(孫 栄健著)雑感

決定版 邪馬台国の全解決 邪馬台国というのは、歴史の闇から吹き上がった言わばファンタジーにすぎない。いわゆる畿内説だの九州説だのは、歴史学的にはまったくナンセンスな論争だ。にもかかわらず、新たな遺跡発見の新聞報道などではつねに畿内説と九州説…

ワールドカップと喪失感

われわれサッカーファンは、4年に一度、ワールドカップ大会の歓喜を味わうわけだが、同時に大会の終幕とともに大きな喪失感を味わう羽目になる。2002年日韓大会の時は日本代表が初のベスト16となり、共催国の韓国が3位。そのほか番狂わせがいろいろあって…

「目の見えない人は世界をどう見ているのか」(伊藤 亜紗 著)雑感。

目の見えない人は世界をどう見ているのか (光文社新書) 子どもの頃、祖父母と座頭市の映画をテレビで見て衝撃を受けた。勝新太郎演じる市が、見えない白目を剥きながらバッタバッタと敵のごろつきを斬り伏せていく。「目が見えないけれど感覚が研ぎ澄まされ…

興亡の世界史 アレクサンドロスの征服と神話 (講談社学術文庫) 雑感

興亡の世界史 アレクサンドロスの征服と神話 (講談社学術文庫) アンドレア 英雄のいない国は不幸だ! ガリレイ 違うぞ、英雄を必要とする国が不幸なんだ (『ガリレイの生涯』ベルトルト・ブレヒト 岩淵達治訳) 10年ほど前に単行本で出版されていた「興亡…

釣り開始30分前まで、僕は「プログレ」を聴いている。(『フライの雑誌』 第64号〈2004年2月〉掲載)

先日、机の引き出しを整理していたら古いUSBメモリが出てきたので、中を見てみるといろいろ釣り絡みのデータが入っている。その中にその昔『フライの雑誌』に寄稿した元原稿も入っていた。確か「釣りをしない時間」というテーマでエッセイを募集していたのに…

『万引き家族』を見たよ。

gaga.ne.jp 素晴らしく美しい映画でした。 この映画から受けた感銘の詳細を具体的に語ると未見の方々にネタバレしてしまうので、そして多くの方にぜひ真っ白な状態でこの映画を見ていただきたいので、厚い靴下の上から水虫を掻くようなまどろっこしい文章を…

カナリア殺人事件【新訳版】を読んでみた。

カナリア殺人事件【新訳版】 (創元推理文庫) 〝カナリア〟と呼ばれ、数々の浮き名を流す美人女優が自宅で殺され、交際していたことがある5人の男たちに容疑がかかるが、いずれも犯人逮捕の決め手に欠ける。そこで前作「ベンスン殺人事件」を見事解決に導いた…

二度寝の夢

Dream Theater - Pull Me Under 今朝、久々に記憶に残る夢を見た。早朝の二度寝の夢だ。 丸の内付近の仕事が終わって家まで自転車で帰らなくてはならない。疲れているので自転車で帰るのは怠いが、ラッシュ時でもあり自転車を持ったまま電車には乗れまい。歩…

『サイコパス』中野信子(文春新書)雑感

サイコパス (文春新書) 先日、友人とサイコパスに関する雑談を交わし、そういえばサイコパスってわかるようでよくわからないよな….と言う思いにかられ、一昨年ベストセラーとなった本書を手に取った。一読、サイコパスについて現在わかっていることが実にわ…

フィリップ・ロスが亡くなった。

フィリップ・ロスが亡くなったそうだ。大学でフランス文学を専攻した私だが、2年生ぐらいから同時代の作家ではアメリカ文学のほうが面白いかもと思い始めてアップダイクやピンチョンやヴォネガットやロスなどを読み漁った。『さようならコロンバス』『ポー…

『陰謀の日本中世史 (角川新書・ 呉座 勇一 著)』雑感

陰謀の日本中世史 (角川新書) ベストセラーとなった中公新書『応仁の乱』の著者による日本中世史における〝俗説〟や陰謀論を、最新の学説を踏まえて検証した一般向けの歴史解説書。オビには「俗説一蹴!」の煽り文句が躍っているが、著者はどのようなトンデ…

The Feelies『Crazy Rhythms』は素晴らしい!

Crazy Rhythms このところSpotifyでThe Feelies(スペルをみるとフィーリーズなような気がするが、わが国では一般的にフィリーズと呼び習わしているっぽい)のファーストアルバム『Crazy Rhythms』(1980)がヘビロテである。 70年代後半商業主義化したニュー…

東京の釣り堀記事、書きました。

先週土曜日の日本経済新聞夕刊に東京の面白い釣り堀について書きました。ここで紹介しているホンモロコの釣りは5月下旬ぐらいまでお休みで、その間はニジマスとアユの稚魚の釣りとなるようです。としまえんの釣り堀は5月6日までやってます。 style.nikkei.com…

森岡先生が教えてくれたサッカーの楽しみ

www.soccer-king.jp サッカー日本代表ハリルホジッチ監督の解任は今もって解せない。この決定をした責任者である日本サッカー協会会長の田嶋幸三という人は、いったいどういう人なのかをネットで調べてみると、むしろ世界のサッカーをよく知る国際派といっ…

『外来種は本当に悪者か? 新しい野生 THE NEW WILD』読後につらつらと。

外来種は本当に悪者か?: 新しい野生 THE NEW WILD 昔、キューピーマヨネーズの広告コピーに「考えてみれば、 人間も自然の一部なのだ。」というのがあった。ライトパブリシティ秋山晶氏の仕事である。1960年代から現在まで、半世紀以上にわたってアートディ…

アガサ・クリスティ『パディントン発4時50分』再々再読

パディントン発4時50分 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) 先週、僕が好きな『パディントン発4時50分』のテレビドラマが放映されていたので、それほど期待しないで見てみた。放映されたドラマは予想以上に酷いものだった。 この小説の名探偵はミス・マープル…

Love in Vain

お前は岩場の山羊が子を産む時を知っているか。 雌鹿の産みの苦しみを見守ることができるか。 月が満ちるのを数え 産むべき時を知ることができるか。 雌鹿はうずくまって産み子を送り出す。 その子らは強くなり、野で育ち 出て行くと、もう帰ってこない。 (…

『ボブ・ディラン解体新書』 再読。

ボブ・ディラン解体新書 (廣済堂新書) 2016年度のノーベル文学賞を受賞したボブ・ディラン。先日、今年の夏にフジロックフェスティバルで来日することが大きな驚きと共に報じられた(もちろん僕も驚きましたです)。 そして、ディランをめぐるここ数年の流れ…

ビゼーと悪妻

芸術家に悪妻は付きものだ。 ビゼーも悪妻の持ち主だったらしい。 私は17歳の時より思う所あって古典音楽を聴くのをやめたのだが、「アルルの女」は時折聞いていた。 小学生の時、放送委員をやっていたことがあるのだが、「アルルの女」ばかりかけていたら…

『サイバネティックスはいかにして生まれたか』N・ウィーナーの思い出〜流れを読む人。

SF小説の〝サイボーグ〟や近年至る所で接頭辞的に使われる〝サイバー〟という言葉の発祥となったサイバネティクス。この本はサイバネティクスについての解説書ではなく、サイバネティクスを創始した数学者の自伝。天才がどのように生まれるかの貴重な記録で…